『「這いよれ!ニャル子さん」を面白くないと感じた側の人間の主張』から見る差別の娯楽化

 「ハーレムアニメ」というのは基本嫌がられるものである。同時に安く作れ、アンチの叩きの温床になりやすいという扱いの難しい代物である。

The-U.JINE氏の『「這いよれ!ニャル子さん」を面白くないと感じた側の人間の主張』を視聴した時、なにか既視感があったのを覚えている。

 それは「映画の父」と呼ばれるグリフィスによる『國民の創生』である。この映画は映画史に残る名作と呼ばれながら、黒人差別団体KKKを英雄的に描き、差別を正当化しかねない点から「アメリカ映画最大の恥」と呼ばれたという。

 さて前述の動画であるが、ニャル子さんの面白くない面を上げ論破しながら、同時にニャル子信者のじゃくてんをあげつらっている。

 

B「オラァッ!」
A「へぶっ!」
B「……なんだかわからんが、とにかく一発殴っておかなきゃならんと思った」
A「……『殴ったね、親父にもぶたれたこと無いのに!』ってニャル子さんなら言いそうだネ」(嫌味たっぷりに)
B「お前このやろう!」
A「ンー?殴るだけでは飽きたらんか?真尋くんのようにフォークでも持ちだすかね?刺すのは俺の手の甲か?それとも頭かね」
B「くぐぐぐぐ!」

 

 この暴力により、作者の主張は正当化され、「実際の所今回の動画は「素直」どころか「悪意」増し増しでやってやりました。」という作者の言うところの逆恨みは見る者のカタルシスになっていくのである。

このロジックは「韓国人や中国人は問題行動をとっているのだから、差別されて当然」との文法に似ている。

 

私は自由な言論を愛する。同時に、「面白いなら差別でも許される」を自主的にどう対策を取るかが問題になっていくだろう。

 

小説投稿サイト「Arcadia」の「没落」について。

小説投稿サイト「Arcadia」という小説投稿サイトがある。「腕白関白」や「アクセルワールド」と言った商業化された作品もある、有名なサイトだ。しかしArcadiaは近年投稿数も減りってきているという。

その理由は他力本願と排他主義、いわゆる読者様が原因であろう。なろうやハーメルンでは必ずしも感想を返す必要はないが、Arcadiaでは感想の無視の禁止が基本ルールで言い渡されている。

 一部を引用する。

このサイトは、大勢の人たちが訪れあなたの作品を見ています。
2009年1月時点で、一日のユニークPV15万です。それだけの人たちが見ています。
あなたの作品に肯定的な人ばかりではありません。
中には厳しい感想や、言葉遣いの荒い人、酷いときには誹謗中傷もあるでしょう。
しかし、基本的に全ては自分の作品に対する感想です。
作品を投稿して大勢の前に公開するからには、自分の作品に責任を持ち、自分の作品に対する感想にも責任を持ちましょう。
あなたが偉大なSS作家になることを祈ります^^

      投稿掲示板利用上の注意事項より

このような姿勢は読者重視と言えるが、それが横暴な読者を生み出すようになったのか?

その原因の一つに挙げられるのが、「あなたが「これはない」と思ったSSについての雑談・考察スレ」の存在ではないだろうか。そもそも愚痴スレとして作られたものだが、批判ばかりで建設的でない話題が何度も繰り返されるのだ。

評論家はいい作品を作れない。ある意味当たり前と言えば、当たり前だろう。